2026年10月10日
朝乃山の土俵に戻る力と右四つ相撲の芯
朝乃山の土俵に戻る力と右四つ相撲の芯
大相撲の話題で朝乃山英樹の名が出ると、勝敗だけでなく「もう一度、土俵で力を出し切れるか」に目が向きます。富山県出身、高砂部屋の元大関。2019年5月場所で幕内優勝を果たし、2020年に大関へ昇進した歩みは、多くの相撲ファンの記憶に残っています。
目次
- 朝乃山を語るうえで外せない歩み
- 右四つが生む圧力と取り口の魅力
- 復帰を待つ時間が相撲ファンに残すもの
1. 朝乃山を語るうえで外せない歩み
朝乃山の魅力は、華やかな実績だけでは語り切れません。近畿大学から角界入りし、恵まれた体格を生かして番付を上げました。2019年5月場所の幕内優勝は、平幕力士としての快挙でした。
その後、2020年に大関へ昇進します。大関は横綱に次ぐ地位で、安定した勝ち星と品格が求められます。一方で、出場停止処分やけがを経験し、番付を大きく下げた時期もありました。
順調な出世だけなら、ここまで人の心をつかまなかったかもしれません。上がり、落ち、また戻ろうとする姿に、朝乃山らしさがあります。
2. 右四つが生む圧力と取り口の魅力
朝乃山の相撲を語るなら、右四つは欠かせません。右四つとは、自分の右腕を相手の左脇の下に差す形です。ここから左上手を取ると、前に出る力が一気に伝わります。
得意の形になったときの朝乃山は、相手を浮かせるように圧力をかけます。寄り切りや上手投げにつながる流れは、派手な速攻とは違う重みがあります。
ただし、けが明けの力士にとって、踏み込みと押し返す力は簡単に戻るものではありません。立ち合いで当たる角度、まわしを取る位置、土俵際での粘り。その小さな差が白星と黒星を分けます。
3. 復帰を待つ時間が相撲ファンに残すもの
朝乃山を見る楽しさは、勝った負けただけではありません。かつて大関まで上がった力士が、もう一度自分の相撲を作り直す過程にあります。
相撲は一場所15日間で結果が出ます。しかし、体を戻し、感覚を取り戻し、相手に研究されても前へ出るには時間がかかります。だからこそ、一番ごとの立ち合いや足の運びに意味が出ます。
朝乃山の土俵には、再起を待つ人の視線が集まります。右四つで前に出る姿が戻ったとき、そこには元大関という肩書き以上の説得力があるはずです。焦らず、しかし力強く。朝乃山の相撲を見守る価値は、そこにあります。